2026.02.17
理念はなぜ「給与」に反映されないのか?——想いを評価基準に翻訳する3つの問い
「立派な理念を掲げているのに、なぜ社員の行動が変わらないのか?」 「評価制度を導入したのに、なぜ不満ばかりが噴出するのか?」
多くの経営者が、この壁に突き当たります。 私はこれまで、多くの組織を「三視点(取締役・経理・営業)」で解剖してきましたが、原因は驚くほど共通しています。それは、理念が**「翻訳」**されないまま、壁に飾られているからです。
理念という「抽象的な美辞麗語」と、給与という「具体的な数字」。 この二つの間にある巨大な溝を埋めるのは、経営者の熱い演説ではありません。冷徹で精密な**「翻訳技術」**です。
1. 「頑張り」を評価するから、組織が腐る
まず、一つの固定観念を破壊していきます。 評価制度に「理念に沿った頑張り」という項目を入れないことです。
「頑張り」は主観です。 主観を評価対象にした瞬間、組織には「政治」が生まれます。経営者の顔色を伺い、アピールが得意な人間が高評価を得る。一方で、淡々と成果を出す優秀な社員は、その不透明さに絶望して静かに去っていく。
評価とは、経営者が社員を「裁く」場ではありません。 会社が定義した「付加価値(利益)」を、あらかじめ決めたルール通りに「分配」する物理的な作業であるべきです。
2. 【ミニワーク】代表の「想い」を言語化するための3つの問い
理念を評価基準に落とし込む第一歩は、あなたの頭の中にある「言語化できないこだわり」を抽出することです。以下の3つの問いに、経営者として向き合ってみてください。
問い①:あなたの会社で、最も「許せない」行動は何ですか?
「顧客を欺いて売上を作ること」 「仲間のミスを陰で笑うこと」 「報告を怠り、問題を隠蔽すること」 あなたが最も嫌悪する行動。それこそが、あなたの理念の「裏返し」です。理念とは、何をするかではなく「何をしないか」の宣言でもあります。
問い②:もし売上がゼロになっても、これだけは守り抜きたい「社員の振る舞い」は何ですか?
厳しい局面でこそ光る行動。これこそが、あなたの会社が持つ「付加価値の源泉」です。
問い③:その振る舞いは、会社の利益(または損失回避)にどう貢献していますか?
ここが重要です。「誠実さ」を「誠実さ」のまま終わらせず、それが「リピート率の向上」や「トラブル対応コストの削減」にどう繋がっているか。経理的な視点で結びつけてください。
3. 理念を「評価基準」へ翻訳するプロセス
抽出した想いを、次は「数字」と「行動」に落とし込みます。
例えば、「誠実な対応」という理念があるとします。これをそのまま評価シートに載せても意味がありません。
経理視点での翻訳: 「誠実な対応」の結果、クレーム処理費用がいくら削減されるべきか。
現場視点での翻訳: 「お客様へのメール返信は3時間以内」「トラブル発生時の報告は15分以内」
このように、理念を「誰がどう見ても達成か否かが判定できる基準」にまで落とし込んで初めて、神経系が繋がり始めます。
4. 経営者の孤独を、ルールの確信へ
理念を数字に落とし込む作業は、経営者の「覚悟」をルール化する作業です。 これまであなた一人が抱えてきた「なぜ分かってくれないんだ」という孤独。その正体は、あなたの中にしかない基準を、社員に「察しろ」と強いてきたことにあります。
想いを「逃げ場のないルール」に翻訳すること。 それができたとき、あなたは社員を監視する「審判」の座を降り、組織が自走するための「設計者」へと進化します。
もし、あなたの組織で「理念」と「給与」が断絶していると感じるなら、それは情報の漏電です。 その断線箇所を特定し、一本の神経を通す。それが、BENDROOTが提供する解決策です。