2026.07.21

判断基準を「一緒につくる」と、何が変わるのか ― 3つの理由と、今日から出来る3つのステップ

判断基準を「一緒につくる」と、何が変わるのか ― 3つの理由と、今日から出来る3つのステップ

判断基準が組織に浸透するかどうかは、内容の正しさより「誰が、どうやってつくったか」で決まります。多くの社長は、正しい基準さえ用意できれば、あとは説明すれば伝わると考えがちです。しかし、現場で実際に使われるかどうかは、また別の話です。

同じ「クレーム対応の判断基準」を伝えるにしても、やり方は2通りあります。社長が完成させてから配るやり方と、幹部と話し合いながら一緒につくるやり方です。同じ内容でも、その後の使われ方はまったく違うものになります。

判断基準が現場に根づく3つの理由と、今日からできる伝え方の変え方を、できるだけ平易な言葉で説明していきます。

正しさではなく、つくり方の問題

判断基準が組織に浸透するかどうかは、内容の正しさだけで決まるわけではありません。その判断基準ができるまでの過程に、幹部自身がどう関わったかで決まります。大きく3つの理由があると考えています。順番に見ていきます。

理由1 自分が関わったものにしか、責任を感じにくい

完成した判断基準を配布された幹部は、資料をファイルにしまい、それきりでした。内容そのものに反対しているわけではありませんが、自分から話題にすることはありません。完成品として渡された判断基準は「社長のもの」のままで、自分の判断の一部として扱われにくいからです。同じことは、判断基準に限らず、会社の方針やルール全般にもいえます。

あなたの会社の判断基準は、誰が最初の文章を作成しましたか。社長でしょうか

理由2 自分の経験が判断基準に組み込まれる

一緒に判断基準をつくった幹部は、自分が話した「迷った場面」がそのまま判断基準の例文に載っていることに気づき、その基準を人に説明するときも、自分の経験談を添えて話すようになります。

基準の中に自分の経験が含まれていると、思い出すきっかけが増え、現場での再現性が上がるからです。抽象的な言葉だけの基準より、実際にあった場面が書かれている基準のほうが、記憶に残りやすいのです。

あなたの会社の判断基準の中に、幹部自身の経験は含まれているでしょうか。

理由3 その場で疑問を出し合える

社長から一方的に渡された判断基準に疑問があっても、多くの幹部はその場で聞き返しません。あとで自己流に解釈して運用してしまいます。一緒につくる場では、「これはどういう意味ですか」とその場で聞くことができます。そのやり取りの中で、社長自身も気づいていなかった不足点や改善点が見えてくることもあります。

完成後に質問するのと、つくっている途中に質問するのとでは、心理的なハードルがまったく違います。完成したものに疑問を出すのは、否定しているように受け取られると感じる人もいるからです。途中の段階であれば、意見はもっと出しやすくなります。

最近、判断基準について幹部から質問を受けたのは、いつ頃でしょうか。

判断基準を渡す場合/基準を幹部と一緒につくる場合

項目基準を渡す場合基準を一緒につくる場合
判断基準の作り手社長だけ社長と幹部
浸透の仕方説明して終わりつくる過程の中で自然に浸透
疑問の取り扱い後で自己流に解釈その場で確認して埋まる
半年後の状態資料として保管されている現場の言葉として使われている

今日からできる3つのステップ

ステップ1 完成させる前に、幹部に見せる

判断基準の下書きの段階で、一度幹部に見せてみてください。「まだ途中だけど」とひと言添えるだけで、幹部は自分の見を言いやすくなります。

ステップ2 迷った場面を、幹部に聞く

「これまで一番判断に迷ったのはどんな場面だった?」と聞いたうえで、その内容を判断基準の文章に組み込んでみてください。

ステップ3 その場で、疑問を聞く

判断基準を説明したあと、「分かりにくいところはある?」とその場で聞いてみてください。あとで解釈がズレるのを、未然に防ぐことができます。3つとも、特別な準備は必要ありません。次に判断基準について話す機会があれば、そのまま試すことができます。

ミニワーク ― その場でやってみる

問い1 今週、扱ってみようと思っている判断基準を1つ選んでください。

問い2 その判断基準について、幹部に「どんな場面で迷ったか」を1つ聞いてみてください。

問い3 聞いた内容を、判断基準の文章に1行だけ書き加えてみてください。3つとも、その場でできる小さな行動です。むずかしく考えず、まずは1つの基準で試してみてください。

まとめ ― 判断基準は、一緒につくるほど「自分たちのもの」になる

判断基準が浸透するかどうかは、正しさではなく、つくる過程に幹部が関わっていたかどうかで決まります。ただ幹部に渡すのではなく、幹部と一緒になってつくる。それだけで、判断基準は「社長のもの」から「自分たちのもの」へと変わっていきます。一度にすべてを変える必要はありません。今週扱っている基準を1つだけ、一緒につくる形に変えてみる。そこから始めてみてください。小さな変化でも、積み重なれば、判断基準は少しずつ現場の言葉になっていきます。

▶ 3分で分かる「社員が自ら判断する組織」

チェックリストはこちら https://form.os7.biz/f/e64dfa23/

コラム一覧に戻る