2026.08.25

社長が変えるべきは人ではなく、組織の仕組み ― なぜ人を代えても同じ問題が起きるのか

社長が変えるべきは人ではなく、組織の仕組み ― なぜ人を代えても同じ問題が起きるのか

同じポジションで、何人入れ替えても、同じ問題が起きる会社があります。原因は、人ではなく、仕組みにあります。

ある会社では、バックオフィス(経理部門)の担当者を、3人続けて入れ替えました。

しかし、そのたびに、支払いの承認をめぐる同じ場面でつまずきがありました。「もっといい人材がいれば。」社長は、そう繰り返していました。

問題が「人」に見えてしまう構造と、よくある対策が効果を発揮しない理由、そして今日からできる改善の方向性を、できるだけ具体的に説明していきます。

変えるべきは、人ではなく仕組み

同じ問題が繰り返されるのは、そこに配置された人の問題ではなく、判断基準やプロセスという「仕組み」が整っていないことが原因です。

原因の構造 ― 問題が「人」に見える理由

新しく着任した担当者は、最初はやる気に満ちています。

しかし、「いくらまでの支払いは、上長の確認なしで進めていいか」という基準が言葉になっていない環境では、何を優先すればいいのか分からないまま、自己流で対応するしかありません。

ある人は慎重になりすぎて確認に時間をかけすぎ、別の人は逆にスピードを優先して確認を省いてしまう。どちらも、本人の性格や能力の問題ではなく、基準がないために生まれるブレです。

結果だけを見ると、「その人の対応が悪かった」ように見えます。

しかし、同じ仕組みの中に次の人を置いても、同じことが起こります。問題は、人ではなく、仕組みの側にあるのです。

あなたの会社で繰り返されている問題は、担当者が代わっても起き続けていないでしょうか。

よくある対策が効果を発揮しない理由

多くの会社は、「もっと優秀な人を採用する」「研修を増やす」という対策を取ります。どちらも、一見理にかなっているように見えます。

優秀な人を採用しても、判断基準が共有されていなければ、その人も同じように自己流で判断するしかありません。

経理経験が豊富な人ほど、前職のやり方を持ち込んで、また違う対応をしてしまうこともあります。前職での「正しいやり方」と、この会社での「正しいやり方」が、同じとは限らないからです。

研修で知識を増やしても、実際の判断の場面で何を優先すべきかという基準がなければ、現場で使える形にはなりません。

「経理の基本」を学んでも、「この会社では、いくらまでなら確認なしで進めるのか」という、会社固有の基準までは教えてくれないからです。

改善の方向性 ― 3つのステップ

ステップ1 繰り返されている問題を、1つ選ぶ

担当者が変わっても起きている問題を、1つ思い出してください。たとえば「支払いの承認で、毎回時間がかかる」など。

ステップ2 その場面での判断基準を、1文で書き出す

その問題が起きたとき、本来どう判断してほしいのかを、1つの短い文にしてください。たとえば「10万円未満の支払いは、確認なしで進めてよい」というように。数字や条件を、できるだけ具体的にすることがポイントです。

ステップ3 次に同じ場面が来る前に、共有する

書き出した基準を、次に同じ場面を担当する人に、事前に伝えてください。着任してから伝えるのではなく、着任する前に渡せると、なお良いです。

人を代える会社/仕組みを変える会社

 人を代える会社仕組みを変える会社
問題への対応採用し直す、配置転換する判断基準、プロセスを見直す
問題の扱いその人個人の問題として処理する仕組みの問題として記録に残す
次の担当者また同じ問題に直面する基準を引き継いで判断できる
半年後新しい担当者に代えても、また同じ問題が起きる同じ問題が起きにくくなる

この表からも分かるように、担当者を何人入れ替えても、基準を言葉にして引き継がない限り、同じ問題は形を変えて繰り返されます。

仕組みを変えない限り、同じミスが繰り返されます。人の問題ではありません。

ミニワーク

問い1 担当者が変わっても、同じように繰り返されている問題を、1つ思い出してください。

問い2 その問題が起きたとき、本来どう判断してほしいか、1文で書き出してください。

問い3 その1文を、次に誰に伝えますか。

3つとも、難しく考える必要はありません。思い浮かんだことを、そのまま書き出してみるだけで十分です。

まとめ ― 仕組みを変えれば、人は活きる

同じ問題が繰り返されるのは、人が悪いからではありません。

判断基準やプロセスという仕組みが整っていないだけです。

仕組みを整えれば、どんな人が担当しても、同じように判断できるようになります。

冒頭の会社も、3人目の退職をきっかけに、ようやく支払い承認の基準を書き出し、共有することにしました。それからは、新しく着任した担当者も、迷うことなく判断できるようになっています。

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