2026.09.15

部下が成長するフィードバックとは ― 「何が」ではなく「なぜ」を伝える

部下が成長するフィードバックとは ― 「何が」ではなく「なぜ」を伝える

同じ「間違っているよ」でも、伝え方1つで、相手の受け取り方はまったく変わります。

実は、私自身にも、身に覚えがあります。

月曜のLinkedInの投稿で、私の新人時代に2人の上司から受けた指摘の話を書きました。

上司Aからは、「違っているよ。次から気をつけて」とだけ言われ、上司Bからは「これは、工具を新しく買うときの判断材料になる資料の一部になるんだよ」と、理由まで教えてもらった話です。

同じ「違っているよ」でも、受け取った感覚は全く異なっていました。そして実際、その後のミスの修正にも、はっきりと差が出ました。同じ職場、同じ新人だった私に、なぜこれほどの差が出たのか。今日は、そのことを掘り下げていきます。

なぜ、この差が生まれるのか。そして、部下に伝えるフィードバックを今日からどう変えられるかを、できるだけ具体的に書いていきます。

「何が」ではなく、「なぜ」が分かれ目

部下が成長するかどうかを分けているのは、指摘の回数でも厳しさでもありません。「なぜ」までセットにして伝えているかどうかです。指摘の頻度を上げても、叱り方を強めても、この一点が抜けていれば、部下の成長にはつながりません。

2種類のフィードバック

「何が」だけのフィードバック

「ここが違う」とだけ伝えるやり方です。

私がかつての上司Aから受けたのが、これでした。

指摘された1件はどうにか直せますが、次に似た場面でも、また同じ失敗をしてしまいます。実際、私もそうでした。「また怒られるかもしれない」という不安から、目の前のことだけで頭が一杯になり、かえって視野が狭くなっていたのだと思います。

「なぜ」まで伝えるフィードバック

「ここが違う。なぜなら〜」と、理由まで伝えるやり方です。

かつての上司Bがそうでした。

理由まで理解すると、判断基準そのものが自分の中に蓄積されるので、次に違う場面でも、自分で考えながら気づけるようになります。目の前の業務だけでなく、他の業務とのつながりにも目が向くようになったのを覚えています。

あなたが最近部下に伝えた指摘は、理由までセットにして伝えていたでしょうか。

よくある対策が効かない理由

よくある対策

多くの会社では、「部下にフィードバック研修を受講させよう」「部下との1on1の回数を増やそう」とします。

どちらも、決して間違った取り組みではありません。

なぜ効かないのか

研修で型を学んでも、日々のとっさの指摘の場面では、結局いつもの言い方に戻ってしまいます。

1on1の回数を増やしても、話す内容が「何が」のままでは、回数を増やしても中身は変わりません。

月に1回、丁寧な面談をしていても、日々の指摘が「ここ違うよ」だけなら、部下が受け取るものは変わらないのです。回数や仕組みを整える前に、伝えている中身そのものを見直す必要があります。

改善の方向性 ― 3つのステップ

ステップ1 直近の指摘を、1つ思い出す

直近で部下に伝えた「何が」を、1つ思い出してください。簡単な短文で構いません。

ステップ2 その裏にある「なぜ」を、1文で書き出す

その指摘の裏にある理由を、1つの短い文にしてください。なぜその基準で判断してほしいのか、自分自身に問いかけるつもりで書いてみてください。

ステップ3 次に話すとき、「なぜ」までセットにして伝える

同じ部下、あるいは別の部下に、次に似た指摘をするとき、書き出した「なぜ」まで、あわせて伝えてください。長い説明は必要ありません。一言添えるだけで十分です。

「何が」だけ/「なぜ」まで

 「何が」だけのフィードバック「なぜ」まで伝えるフィードバック
部下の反応指摘された1件だけ直す次に似た場面でも気づける
部下の記憶怒られた、という記憶だけが残る理由を学んだ、という記憶が残る
半年後同じような指摘を繰り返す自分で気づいて動けるようになる

この表からも分かるように、フィードバックの効果を分けているのは、回数でも厳しさでもなく、理由をセットにして伝えているかどうかだけです。

ミニワーク

問い1 直近で部下に指摘した「何が」を、場面と一緒に、1つ思い出してください。

問い2 その「何が」の裏にある「なぜ」を、1文で書き出してください。キーワードだけでも構いません。

問い3 次にその部下と話すとき、いつ、その「なぜ」を伝えますか。時間や場面もあわせて考えてみてください。

まとめ ― 差を分けるのは、回数でも厳しさでもない

部下が成長するかどうかを分けているのは、フィードバックの回数でも厳しさでもありません。

「なぜ」までをセットにして伝えているかどうかです。

私自身、上司Bのような伝え方をしてもらえたから、今こうして判断基準について仕事にしているのかもしれません。あの一言がなければ、この記事も書いていなかった気がします。

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